Keijiweb ver 6.24 - 大きな市場の小さなニーズを捉えたアプリが売れる

ちょこっと通信:Geographica、雨かしら?、立体録音部などを開発、公開中!使ってみてね。

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■ 大きな市場の小さなニーズを捉えたアプリが売れる 2012年11月05日
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僕は2009年の10月末に会社勤めっぽい事を辞めてアプリ作家兼ライターとして活動しだしました(※)。元々ライターの仕事はしてたのでライターの部分はそのままに、会社勤めを辞めてアプリ作家になったという訳です。10月の末でちょうど3年になります。ようやくiPhoneアプリが売れて人並みの収入になってきました。丸3年掛かったんだなぁ。ようやく、というところですが2009年の僕はこんな戦略でアプリ商売をしようと考えていました。

※・・・「会社勤めっぽい事」とか回りくどいことを書いているが、僕はそもそも会社員ではなかった。一応大学を卒業して中小のIT系企業に就職した。が、給料は新卒並でも仕事は最前線という状況がバカらしくなって1年半で辞めた。その後、その会社と直接契約をして2009年までお世話になった(この約7年分については感謝してるんですよ、一応)。社員でもないし、社員になっても明るい未来を感じないし、精神的にも、限界まで仕事して壊れかけてたしって事で、アプリを個人で作って売ろう!と決めて2009年の10月末で契約を終了したと、そういう事になっております。

2009年時点での基本戦略

・とりあえず1ヶ月に10万円をアプリで稼ぎたい。
・その為には、1ヶ月に1万円売れるアプリを10本作ればいい。
・当時はアプリの最低価格が115円で、115円の売上げに対して80円貰えた。
・例えば230円のアプリを1本売れば161円の利益になる。
・10本アプリがあれば1日に1アプリが稼ぐ金額は333円でいい(10万円÷10本÷30日=333円)。
・230円の有料アプリなら1日2本売れれば目標に届く!
・多分その程度の目標なら簡単だ!

つまり、

「230円の有料アプリを10種類作り、それを1日平均2本ずつ売ろう!そうすれば1ヶ月に10万円稼げる!」

というのが基本的な戦略でした。が、それは全然うまく行かなかったのです。

アプリがまったく売れない

iPhoneユーザーは何百万人もいるのだから、良いアプリを作れば1日2本くらい勝手に売れていくと思っていました。ところが全然売れない。Webサイトなどで宣伝しても売れません。

考えてみれば、当時はiPhone3GSが最新機種で思ったほどiPhoneユーザーは多くなかったんですね。だから市場が小さかったし、今ほどみんな有料アプリを買わなかった。おまけに僕のアプリは僕が作りたかったものを勝手に作っただけだったので、顕在ニーズも潜在ニーズも捉えていなかったのです。

一番最初に作ったのは、前に撮った写真を半透明に表示して同じ構図の写真を撮り溜めることが出来る「定点カメラ」。

http://keijiweb.com/down/teitenCamera/

連続した写真をアルバム単位で管理できたり、インターバル撮影が出来たりしてなかなか便利な写真アプリでした。今はもう売ってないけど(サポートとかメンテナンス的な問題)。僕としては超画期的なアプリだと思ったし、自分でも便利に使っていたので売れない理由がわからなかったけど売れなかったんですな。

次に作ったのはダメスピーチ。

http://keijiweb.com/down/DelayTalk/

要は、ちゃんと話すことが出来なくなるアプリです。お台場の科学未来館に同機能の装置があって、原理は前から知っていました。それをずっとアプリにしたいなと思っていたので作ったのがダメスピーチです。これも、おもちゃとして遊ぶと面白いんです。だって、本当にしどろもどろになるんだから。家族にやらせたり飲み会で友達にやらせると面白いアプリです。

が、当初は「マイク付ヘッドフォンを接続して、ヘッドフォンを耳に装着してマイクに話しかける」という根本的な使い方を理解しないで使う人が多かったようで、多分素のiPhoneに向かって話しかけて「普通に話せるじゃねーか!」みたいに怒ったんだと思います。レビューが荒れました。あと、そもそも「しゃべりをグダグダにして楽しみたい」というニーズがなかった。レビューが荒れる、ニーズがない、という二重苦によってあまり売れず、未だに売れず、これは今年の平均でも月に2500円くらいしか売れてません。

今はヘッドフォンが繋がっていなかったら警告を出すとか、動画とか画像を使って説明していますので多分正しく使われていると思います。そういう、ユーザーを自動的に導く仕組みを用意しておかないと正しく使ってもらえないという事をダメスピーチで学びました。

次に作ったのは立体録音部。

https://itunes.apple.com/jp/app/id375998101?mt=8

このアプリは無料で広告を載せてます。当初からiAdを使っていたのでしばらくは広告料がほぼゼロでしたw。今でも月に$30くらいですから大した収入にはなっていません。ダウンロード数はちゃんと記録付けてないけど20万DLくらいあるんじゃないかと思います。

これも、当初はヘッドフォンで音を聴かないと立体感を感じられないという事を理解出来ない人が多かったみたいで、★1のレビューがズラズラ並んでました。けっこう色んなとこにヘッドフォンで聴いてくださいって書いたんだけど。デバイスの状態を見て、ヘッドフォンが繋がっていない場合はアラートを表示するようにしてようやくレビューが改善し、今は★5がほとんどです。やはり、正しく使ってもらうためにはそれなりの仕組みが必須です。

これは、今でこそそれなりに認められていますが、やはり他のアプリ同様ニーズが薄いアプリだったと思います。そもそも立体音響を知らないんだからニーズも糞もないわけですな。

1年目の結果

大体そんな感じでアプリを作っていって、最初にAppleからお金を貰えたのは1年くらい経った2010年の9月でした。2万5千円分たまらないとお金を振り込んで貰えないのですが、1年掛けてようやく稼げたのが2万5千円でした。それでも嬉しかったんですよ。でも、振込先を三菱東京にしていたので手数料で4000円取られました。年収の5分の1近くをなんの断りもなく持って行かれたわけで大ショックです。その後調べて、シティバンクなら手数料が掛からない事を知り、今ではシティバンクで受け取っています。

僕の当初の目論見は完全に外れたわけです。1年目は1日に300円を稼ぐアプリすら僕には作れませんでした。定点カメラ、ダメスピーチ、立体録音部の3本は未だにその目標に達していません。そりゃあ、誰も欲しがらない様なアプリを勝手に作ってもダメだろってのは今ならわかります。3年間の経験があるから。

1000万人にリーチ出来るメディアを持っていればニッチなアプリでもそこそこ売れるかも知れません。でも、小さな宣伝チャネルしか持ってない場合、小さなニーズに製品を知ってもらう事は困難なのです。個人がニッチなアプリで小さく稼ごうったって、そんなの無理なのです。

2年目、ようやく売れるアプリが生まれた

転機は2010年の冬。DIY GPSを作って売り出したら結構売れました。

http://diygps.net/

ユーザーが増えると要望も来て、その要望を実現してアップデートすると評判を呼んで更に売れました。今の僕が生きていられるのはDIY GPSのおかげです。最初に作った理由はこれまでの3本と同じで「自分が欲しかった」ですが、同時に「道迷い遭難を減らしたい」という気持ちもありました。なので、機能追加は遭難防止に役立つか?を優先して行っています。

DIY GPSが他の3本と違うのは、同じジャンルの物が民生品として広く普及していたという点です。しかもその価格が高い。安くても3万円くらいはします。ガーミンやソニーのGPS機器など、山では既にGPSが使われていたし、山でGPSを使いたいという人が僕以外にもいたわけです。潜在ニーズも顕在ニーズも存在したという点が大きく違います。

それまでは何万円も出さなきゃ使えなかったGPSが、元々iPhoneを持っていたなら450円の追加投資で使えるというのは大きなセールスポイントだったと思います。また、当時はまだiPhone用のオフラインGPSアプリがありませんでした(※2)。ニーズはあるけど製品はないという、最高のブルーオーシャンがそこにはあったわけです。

しかしこれは狙って売れたわけではなく、たまたま当ったというのが正直なところです。たまたま自分発の欲求で作ったら、そこにニーズがあっただけです。

※2・・・「やまちず」も「FieldAccess」もDIY GPS公開当時はまだAppStoreに無かったんですよ。いち早くリリースしてデファクトスタンダードを取るために地図表示の部分を徹底的に手抜きして開発速度を優先しました。それが欠点にもなっているんですが、結果的には良かったかなと思います。

既に存在する物でも必ず不便な点がある

これでアホな僕でも流石に気付きました。

「ニーズがあるものを作らなければ売れない」

定点カメラを欲しいという人はたまにいます。でも、絶対数が少ない。おそらく1万人に1人とかそんな割合です。だから売れない。DIY GPSみたいな幸運はそうそうありません。たまたま作ったらそこにニーズがあって競争相手がいないなんて幸運は滅多に訪れないのです。

じゃあどうするか?答えは「速攻乗換案内」でした。

速攻乗換案内を作った理由

http://norikaemax.com/

最近、レビューがいまいちで順位落としてますが、基本的には高く評価されているアプリです。少なくとも僕はもう他の乗換案内アプリを使っていません。

スマートフォンを使う人は日常的に乗換案内アプリを使います。電車に乗る前にはほぼ必ず使います。だから色んな会社が乗換案内のアプリを作っています。無料の物が多く、どれも便利に使えます。が、実は欠点がありました。

・乗換の条件を1個しか保持できないので、検索をすると前のが消えちゃう。
・よく使う条件でも毎回入力し直し。
・オンラインでないと結果が消えちゃう。保存しておけない。

例えば「マイルート」とかいう名前でよく使う条件を保存しておけるアプリもあります。が、それは月額有料のアドオンになっていたりします。ずっと前の結果をオフラインで見られるアプリもありませんでした。ところが、2011年の5月頃「路線検索HELPER」というアプリが表れました。このアプリは、

・検索画面を3つ持っているので用途別に分けて使える。
・検索結果の画面を画像として保存出来るので、オフラインでも見られる。

という特徴を持っていました。でもそれより何より、衝撃的な特徴がありました。それは、

・乗換検索自体はYahoo!とGoogleのWebサイトを使う。

これはビックリしました。そんなんでいいのか!と。当時の僕は驚きのあまりツイッターで報告しています。2011年06月30日のツイートです。


アプリの仕組みとしては簡単です。各乗換案内のWebサイトは、検索条件を受け取ってその結果をWebページとして表示します。アプリの流れとしてはこうです。

1.ユーザーはiPhoneアプリで駅名や時間、細かい条件を入力する。
2.その検索条件をURLに変換する。これはプログラミングとしては初歩の文字列処理です。
3.Webブラウザを表示する機能で結果をアプリ上に表示する。

この3ステップで、誰でも簡単に乗換案内アプリを作れるというのを示したわけです。検索条件をURLの文字列にするのは本当にプログラミングの初歩レベルでも出来ることですから(作業としては面倒くさいけど)、iPhoneアプリの開発初心者でも作れてしまうことになります。だから僕はこんなことも呟いています。

初心者レベルでも当たりアプリを作れるんだから、誰か作らない?って煽りました。でも誰も作らなかったので1年待って自分で作りました。それが速攻乗換案内です。

全く新しい物なんて作るな

2011年06月30日には更にこんな事も呟いています。

この頃はもうDIY GPSがそこそこ売れていたし、乗換案内アプリについて考えてこういうツイートに至ったのだと思います。でも、更に過去のツイートを見ても、同じような事を書いているのでそもそもこういう事を考えていたのかも知れません。




若干やさぐれてた頃のツイートなのでトゲがありますねw。全く新しい物を作っても、それを説明して受け入れてもらうのは大変な労力が必要です。理解される前に誤解されて、それで低評価レビューが並んだら、それだけでアプリは死にます。簡単に死にます。だから、解りやすい、既にある物を改良するのが一番って事に僕は気付きました。2009年10月の僕に教えてあげたい。そして、このことを、この文章を読んでる10分くらいで知れたあなたはラッキーです。一年半を棒に振らずに済むんだから。

ここまでを踏まえて、どんなアプリを作ったらいいかといえばこうなります。

結論:大きな市場のニッチを狙え!

結局ニッチかよ!みたいな話ですが。例えば、大手企業が作る乗換案内アプリやWebサイトは1000万人が使うことを想定して作られています。リーチ出来る宣伝チャネルや広告費も持っています。だから自社で乗換案内のシステムを開発保守運用しても無料で提供できるんですよ。

だけど普通は1000万人のニーズに完璧に応えるのは無理です。例えば1000万人のうち5万人が不満を持っていたとします。僕らみたいな個人開発者が狙うべきはこの5万人です。1000万分の5万人のニーズに合う乗換案内アプリを作れば十分なわけです。速攻乗換案内はそこを狙って作ってあります。そして、狙ったとおりに収益を上げてくれました(とはいえ、まだ5000本すら届かないけど)。

1000万人市場を狙うのは以下の5つのメリットがあります。

1.既にある市場なので開拓する必要がない。
2.「このアプリのここを便利にした」と言えば説明が楽。
3.パイが大きいので食い合いにならない。
4.自分の分を確保するのが比較的楽。
5.市場が大きいので、数百円なら買ってくれる人が結構いる。

という訳で、結構商売として成り立ちます。ですから、例えば

・高速道路の渋滞情報を見るアプリ
・メモアプリ
・カレンダーアプリ
・RSSリーダー
・ツイッターなどSNS
・地図アプリ
・天気予報アプリ

この辺りも有望です。なので、天気予報アプリとして「雨かしら?」を作りました。

http://keijiweb.com/amekashira/

もっとも、これは無料で広告なしのアプリなのでいっぱいダウンロードされても僕は1円も儲からないんだけど。

上記の例だと「高速道路の渋滞情報を見るアプリ」は有望で作るの簡単です。AppStoreでいくつかダウンロードしてみると判りますが、大抵は日本道路交通情報センターのWebサイトを利用しています。高速道路を選択して、最後はWebページを表示しています。いくつかアプリがありますが、どれも決め手に欠けるいまいちなアプリばかりなので改善の余地があります。例えばGPSと連動させるとか。お気に入りとかタブ機能とか、速攻乗換案内と同じアプローチからUIを再設計すれば良いアプリが出来ると思います。

既存で多くのユーザーを獲得しているアプリの牙城でも、一部を崩せばビジネスになりうるのです。

まとめ

3年分のアプリ開発経験から考えた事をまとめるとこんな感じ。

・大きな市場のニッチを狙え!

・アプリのPRは出来る限りやりつくす

・レビューを気にしましょう

・ユーザーと真摯に向き合いましょう

個人でのアプリ開発は、当初僕が考えていたほど簡単ではありませんでした。それでも、2年やったらそこそこ食べられるレベルになったし、自分の仕事が自分の生活を直接作るというやりがいがある仕事ではあります。Appleの新製品が発売されると共に、市場は年々大きくなっています。この先30年後は判りませんが、5年くらいは今の調子でiOSユーザーが増えると思っています。そうなると、ますます個人の開発者にもチャンスがあるわけですから、チャレンジしない手はありません。初期投資なんて10万円掛からないしね。

未来のライバルを増やしかねない文章ですが、僕はライバルが増える事は良いことだと思っているし良いアプリは僕も使いたいので、優秀なプログラマーはみんなiPhoneアプリ開発に参入したらいいなと思っています。

もしかしたらiPhoneアプリで年収1000万円稼げるかも知れません。年齢も学歴も職歴も関係無い世界です。

YOU!iPhoneアプリ作っちゃいなYO!特に、高速道路の渋滞情報アプリ作っちゃいなYO!今、それが一番欲しいんだ!YOUが作らないなら俺が作っちゃうZE!


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