Keijiweb ver 6.24 - 山でスマートフォンのGPSを使う事について色々考えた。

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■ 山でスマートフォンのGPSを使う事について色々考えた。 2012年05月28日
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こんな記事があった。

カロロコ 2012年5月27日
GPSで登山、過信は禁物 充電切れ、山頂で機能せず/神奈川


スマホのGPSを使っていた登山者が道に迷って遭難した件を紹介しつつ、GPSを過信せずに紙の地図を携行しなさいという内容だ。GPSは電池切れもあるしいつも絶対に正しいわけではないから過信してはならないというのは同意できる。が、どうも記事全体にスマホのGPSに対する無理解と紙地図至上主義を感じた。偏っているな、と。

引用しながら突っ込み

充電切れや山頂などで機能しない不安があるほか、秦野市内では、山岳地図を携行しなかったためルートを外れて遭難し、救助されたケースも。

山頂でGPSが機能しないとはどういう状況なんだろうか。通常、GPSは山頂のように頭上の見通しが良い場所では高精度の現在地をはじき出す。iPhone4SのGPSはそのような状況では半径5mという高精度で現在地を特定可能だ。山頂で使えないというのは理解しがたい。

山頂が携帯圏外でオンライン地図を見られなかったという話なら、それはアプリの問題であってスマホの問題ではない。地図を本体内に記録してオフラインで使えるアプリを使えばいいのだ。

また、電池切れについてはモバイルブースターなどの携帯充電器を使うことで対応可能。電池が切れるかどうかというのはスマホやGPS機器の問題ではなく、補助電源を持つかどうかという装備の問題である。

どれも「山でスマホに頼ったのが悪い」訳ではない。


「GPSはあくまで補助的なもの。地図と併用を」と呼び掛けている。

GPSの画面には地図が表示されているわけで、画面を見ている時点で地図を併用している様な物だと思うのだが、これは単に経緯度を表示するだけのGPSを指しているのだろうか。単なる経緯度を見ただけで現在地を把握できる人がいたらびっくり人間大集合に出られると思う。

GPSを使う側の人間としては、GPSの画面に表示された地図と紙の地図を両方同時に見るなんて無駄にしか思えない。GPSが動いている限りはGPSの地図だけ見ていてもいいだろう。何が問題なのか。


 日本山岳協会(東京都渋谷区)の担当者は「GPSは現在地の緯度や経度が分かる便利な道具で、登山者向けの講習会も開かれている」としながらも「詳しい地形は表示されないし、途中でバッテリーが切れることもある。

これもおかしい。「詳しい地形は表示されない」というが、きっと最近のGPSアプリを知らないのだろう。拙作GPSアプリ『ジオグラフィカ』『DIY GPS』はiPhoneの高精細なモニターに国土地理院の地形図を映し出す。地図の元は2万5千図である。これ以上なにを求めるのだろう?地形の詳細という点では紙の地図と変わりない。


ジオグラフィカ


こういうアプリがあることを知らないのはいいとして、なぜ調べないのか。GPSは地図が粗いといくら揶揄しても、それを頼りに山には入る人は今後も出てくるだろう。メディアの役割は、そういう人が粗い地図ではなくちゃんとした地形図を使えるGPSアプリの存在に気づくように情報を提供することなんじゃないのか。

バッテリーについての指摘はさっきも書いたが装備の問題である。電池切れを問題にしてGPSを揶揄するのは「水が切れることもある」とプラティパスを揶揄するのに等しい。GPSは壊れる事もあるがプラティパスだって穴が開く事もあるだろう。GPSとか電子機器だけ特別脆弱な物として書くというのはアンフェアだ。

僕はiPhoneを山で使っているが、防水ではないし落とせば壊れてしまうのは判っているのでLifeProofを使ったりストラップを付けて落とさないようしている。装備の特性を知って正しく使えばいいだけの話だ。


大型連休に丹沢登山を楽しんだ川崎市の30代男性は「山頂付近で携帯電話のGPSを使ったが機能しなかった。地図とコンパスは必ず持っていくようにしている」。

僕は「携帯電話」つまりガラケーを自分名義で持ったことがなく全然使ったことがないので詳しくは知らないのだが、ガラケーのGPSは携帯圏外で動作しないと聞いたことがある。

しかし、iPhoneなどスマホのGPSは携帯圏外でも動作する。頭上が見通せる場所、つまりGPS衛星からの信号を受けられる場所でなら半径5mの現在地を取得できる。

詳しくはDIY GPSの解説ページ「コラム iPhoneのGPSは携帯圏外でも使えます」に長々書いた。常に完璧ではないにしろ、少なくとも人間よりは信頼に足る現在地を計算してくれる。


同署によると、3人は登山歴3年以上だが、地図は持っておらず、GPSとブログに掲載された写真を頼りに山へ入った。会社員は「GPSで最短ルートを探して歩いているうちに迷ってしまった」などと説明したという。

登山歴3年といっても山行の頻度や登った山のレベル、経験者の指導を受けたのか、本人達がどのくらい勉強したかによって技量は全然違う。何年山に登っていても地図を読めない人はいる。そういう人が地図を持っていても役には立たない。丹沢や奥多摩は道もハッキリしているし道標も多いので一般道を歩く限り道に迷って遭難はしにくい。地図を読めなくて山に入ってる人も大勢いるだろう。

遭難したという3人はGPSを頼りに登山道を外れて最短ルートを歩こうとしたという。つまり、一般道を外れてのバリエーションルートである。これは地形図の等高線のつまり具合から地形を正確に読む技術が必要であり、GPSを使ったかどうかは関係がない。普通に地図が読めるなら等高線が詰まってるような地形が先にあったらルートを変更するか引き返すだろう。

もしこの人たちがGPSではなく紙の地図を使っていても、やはり道に迷っただろう。バリエーションルートを歩く力量があったかどうかという話だ。GPSの存在が慢心を招き、実力以上の行動を取るトリガーになったという指摘もあろうが、それは本人達の心の問題であってGPSのせいにするのはいささか強引だ。


全体を通して思うこと

紙の地図とコンパスを携行しましょうというのは正しい。何事もバックアップは大事だ(※)。GPSを過信してはならないというのも正しい。人間が作ったものに完璧な物はないし、状況によっては座標の精度は落ちる。

しかしいまやスマホのGPSアプリにしろガーミンのGPSにしろ進歩しまくっている。谷の底など、GPSの信号が届きにくい場所では確かに精度が落ちるが、精度が落ちていることを人間が理解して使えばいいだけのことだ(普通は精度がどのくらいか表示される)。山の中で、最高精度半径5mで現在地が判るって凄いことだ。

山の中で現在地がビシッと判っているのは心強いし非常に楽しい。目的地までの距離や標高差も判る。現在地が正しく判り、高精細な地図が表示されることで自分の周りの地形と地図の地形を見比べる事が出来る。実地で地図読みを学ぶことも出来るのだ。なるほど、等高線がこれくらい詰まっているとこういう地形になるのか、という事が見てすぐ判るのだ。これ以上効果的な地図読みの練習があるだろうか。

山でのGPS使用は利益こそあれ、害悪ではないはずだ。


※…僕にとっては紙の地図がバックアップで主体はGPSです。もう2年くらい紙の地図は持ってるだけで使ってませんが(GPSに問題が起こらないから)。

箇条書きでまとめ

・記事を書いた記者の無理解が腹立たしい。現在のGPSについてろくに調べずに書いたとしか思えない。人のコメントだけ集めているが、自分で検索などして調べたのか。

・GPSだって表示されるのは地図なんだから、地図も読めない人がバリエーションルートを行こうとしたら危険な場所に踏み込んで遭難するのは当たり前。紙の地図を持っていても持っていなくても同じだろう。GPSを過信して遭難したというよりは技術不足が遭難の原因と思われる。

・スマホのGPSは山奥でも使えるし、オフラインGPSアプリを使えば高精細の地形図を表示して、そこに現在地を表示することが出来る。それも知らない人がGPSを批判なんてすべきじゃない。

・電池が切れるかどうかはユーザーの使い方や準備次第。なお、拙作DIY GPSの場合はルート案内やGPSログを使った場合は5~8時間、GPSログ機能を使わず現在地の確認に使う程度なら追加充電なしで10時間は使える(スタート時にiPhoneが満充電の場合)。

省エネを優先するかGPSログの記録など利便性を優先するかで消費電力が変わる設計になっており、それはユーザーの選択で決まる。なにも、一律にスマホのGPSが電池をバカ食いするわけではない。理解して正しく使えばいいのだ。

・スマホを山で使う場合はモバイルブースターなどの充電器や防水耐衝撃ケースなどを使うと良い。それらのサポート装備があればスマホといってもバカに出来ないほど役立つ。「スマホを山で使うとか(笑)」なんて馬鹿にした態度や「スマホだよりで登山なんて山舐めるな!」っていう考えは頭が固いように思える。

・耐水ペーパーの地図ならともかく、A4紙にインクジェットプリンタで印刷した地図なんかは濡れれば滲んで見えなくなる。広げたら風に飛ばされる事もあるだろう。紙の地図だって絶対ではない。

・道具を使うのは人間であり人間の使い方が悪かったからといって道具を叩くのはいかがなものか。

・GPSアプリは今後もどんどん進歩するだろう。僕もどんどん便利になるように開発する。

・GPSやスマホを山で使うことに関する嫌悪感が理解できない。

・地図とコンパスを使えないやつは山に行くなってのは酷だ。自分の力量に合わせた山と行動を選べれば良いだけ。簡単に「山舐めるな」とか言い出す人がこういう記事をネタに「それ見たことか」って遭難者を非難するのは見ていて悲しくなる。山はエキスパートだけの物ですか?と。


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