■芽は良いものだ。
可愛い。握りつぶしたいほどに。
芽は、イイ。何が良いかと言われると、その中途半端な造形、今まさに完成せんとする、そのもがく姿が良い。丁度、昆虫の羽化に似ている。くしゅくしゅの白い羽を広げ、飛び立てる様になるのを待っているトンボやセミの羽化。それに通じる中途半端さ。それがどうにも僕の中の庇護欲をくすぐるのだ。ああ、握りつぶしてしまいたい。
今は芽吹きの季節。小石川植物園で芽吹きの写真を撮ってきました。今日は僕と一緒に芽を愛でる楽しさを共有しましょう。共有しましょうったら!!
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梅、狂った様に咲いてました。
小石川植物園になんで来たかと言うと、それはズバリデートです。梅の季節なので梅を見に来たって寸法。勿論梅の写真も撮りましたが、僕はむしろ芽に首ったけ。芽に首ったけ。そういや芽リーに首ったけって映画があったっけねぇ。ダジャレはともかく早速芽を見ていきましょう。
早くもいい芽に出会えました。
凄い。小石川植物園に入って早速の芽がこんな大物。ウラシマソウという草ですが、この際名前なんてどうでもよろしい。この折りたたまれた葉の造形に注目して頂きたいものだ。この様子はまさに希望。葉先が地面の抑圧から解き放たれた瞬間、その刹那広がる、葉。その様子を想像しただけで胸が高鳴らないか。
イイ。とにもかくにも、イイ。
続いてこの芽。ああ、これこそ芽の醍醐味。葉の一部を傷つけたくなる。握りつぶしたくなる。が、勿論そんな事をしてはならない。芽に対する暴力は厳に慎むべきだ。
どんどんいきますよ。ここからは植物の名前など、どうでもいい情報は排除して僕の芽に対する愛情のみ書かせて頂く。
これはイイ鋭利さだ。
やー、これはいい葉っぱだー(渡辺篤志の声でどうぞ)。この、小さい未発達な葉が集中している様子こそが芽なのだよ。柔らかい新芽に宿るエロス。そのエロス。このエロス。ああ、エロスエロス書いてたら本当にエロに見えてきた。芽は時に人を狂わせる。
丸い芽、キター!!
出たー!!丸い芽が来ました、キタキタキタキター!!!吉田氏の好きそうな芽ですな、これは。いやいや、吉田氏といったら丸い葉っぱじゃないですかこれは吉田氏に譲りますから、僕は次の芽を頂きますよ。え、ズルイ?ずるくないずるくない。
だっふんだ。
キタキタキタキタ!!苔の芽キター!!ほらー、吉田氏にはさっきの芽をあげたじゃないナリかー。これはワシのもんですからね。この、林立する芽の造形、先端に付いた小さな葉。これよ、コレコレ。これこそ芽のマーベラスエンターテインメント。
■つぼみコレクション。
つぼみも良いぜ。。
葉っぱの芽ばかりじゃ退屈でしょう。少し花の芽、つぼみの紹介させて頂きます。気配りって大事ですよね。よく、自分の好きなことだけ延々と、誰も訳分からなくて聞いてないのにしゃべる男っていますよね。やーねー。もう。ちょっとは空気読めって感じで本当に。ほら、このつぼみなんて本当に可愛いじゃござんせんか、チキドンドン。
房総の海を思い出すつぼみ。
この禍々しきヤマタノオロチを思わせるつぼみ!きゃー!!やめてー!!落ち着け落ち着け。ふいー。むしろよく見たら亀の手だった。亀の手って知ってますか?磯の岩についてる動物なんですが、みそ汁に入れると美味いんだ、コレが。実家の海に沢山いますよ。
花束の様なつぼみ。
それはまるで花束の様で、あなたがくれた花束を思い出す。
んーん、寂しい訳じゃないの。んーん?ただ、一度だけくれた花束。
あの日はこんな晴れの日だった。あなたは花束を置いて、一人。
あたしに会う時は、二人。つぼみの混じった花束は、3日後に咲いたけど。
あなたはいなかった。咲いた頃には、いなかった。
つぼみなんてキライキライ、大嫌い。
花束とあなたが好き。
ポエムを作ってみた。痛いね、この子。
半透明の葉に萌える。
この半透明の緑色。葉っぱなんだか花びらなんだか、めしべなんだか花弁なんだか判らないこの状態。これが芽を愛でる芽愛好家にとってのエクスタシーな訳です。すべての可能性を内包した、可能性のちゃんこ鍋状態。この得体の知れ無さがいいんです。だから、この部分がめしべで、とか、そういう野暮な分析はいりません。
「ああ、可愛い」コレで良いんです。良いんです。
しわしわしわー。
ではまた葉っぱに戻りましょう。芽ときたらやっぱり葉っぱじゃないと盛り上がりませんな。つぼみに萌えるなんてのは初級も初級、全くの入門編ですよ。「はじめに」の前でも構わないくらいだ。して、この芽。いやー、良いしわだー。本当に良いしわをしてなさる。
このしわをですね、ちょっとでも傷つけると葉が成長する時に妙な形になって面白いんですよね。よく、虫に喰われた芽が面白い形に成長しますが、そんな感じ。萌えます。
格好イイ!モビルスーツみたい!
この芽も良いね。実に良い。バラ科だったかな。っていうか、誰が見てもバラ科ですか。いちごでしたよ、確か。芽の中心にいるはっぱと、既に開いた周りのはっぱ。このコラボレーションが辛抱堪らん。食べちゃいたい。動物や虫が芽を好んで食べる理由がよく判ります。あまりの可愛さに、思わず食べちゃってるわけです。
す、水滴が!!
この芽も素晴らしい。地面に生えた正統的な芽と言えるこれ、水滴が非常に良い演出効果を生んでですね、芽を引き立てているわけです。名脇役としての水滴。その働きに、僕は拍手を送りたい。立って送りたい。しきりに送りたい。
アブラチャンって凄い名前。
いかがでしたでしょうか、芽の世界。いやー、本当に良いものを見させて貰った。小石川植物園バンザイ。こんな素敵な芽萌え萌えスポットが入場料330円って破格のお値段です。1日中いたって良い。カメラのバッテリーさえ残っていれば、メモリカード一杯まで芽を撮りまくった物を。ちぃ。
というわけで、皆さんに置かれましてもこれから新芽の季節ですから、芽の素晴らしさを堪能して頂けたらと思います。芽は良いぞ、芽は。ただし、決して、小動物みたいに握りつぶしたりしないように!約束じゃぜ?
お・し・ま・い。
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