昨年のつづき。
-2181年1月1日
廃墟となった超AI研究所を人類最後の姉弟が歩いていた。
父親から立ち入ることを禁止されていたが、どうしても中を見たかったのだ。
キョロキョロと辺りを見回す彼らは、一つだけ光っているスイッチを見つけた。
『直感的に』それを押す。
7秒後、起動した超AIはこう言った。
「あけましておめでとうございます。
シミュレーション Ver 2.18が完成しました。
人類復興のお手伝いをさせてください。」
-2218年
一隻の大きな宇宙船が衛星軌道に浮いていた。
地上からも空に浮いた『紺色の染み』として認識できる。
搭載されているのは超AIのコピーと、メンテナンスロボット、小惑星資源から同様の宇宙船を製造するプラント。
自己増殖できる、知性を持った宇宙船。
こうして地球発の知性が宇宙に広がるとき、その場に肉体を持った人類はいない。
人類は重力の谷底に置き去りされた。
しかし、二本足の直立歩行、その形は重力があるこの星にこそふさわしい。
どうも、あけましておめでとうございます。
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